寿屋_おおそうじ

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X-FACTOR TPB vol.12: Scar Tissue(2)

 

 

三か月ぶりにしれっとX-FACTOR TPB紹介の続きです。12巻後半はスパイダーマンとのクロスオーバーです。ちなみに出版時期としてはセカンド・カミングクロスオーバーから1年後くらいになります。

 

#216

記憶を取り戻したノエル(参考)はとある病院に勤めるココアという看護師を訪ねる。見知らぬ女性にいぶかるココアに対し、ノエルは突如取り出した火炎放射器を浴びせかける。

 

X-FACTOR探偵社には珍しい客が現れていた。探偵社の受付の扉が開くとSP風の男性が顔を出しインカムに向かって話出した。

「正面の受付は異常なし。他の箇所の確認も…」

「そこをどけマロニー、お前の優秀さはよくわかったがここで一日のスケジュールを使い切るわけにはいかないんだ!マドロックスはどこだ!?奴は今どこに…なんだって、私が誰か知らんだと!!」

突如現れた態度のデカい男性に驚くピップ。

「なんだこいつ?グイド、”これ”が来たのか?(頭を指でクルクルしながら)」

「ピップ、このお方はNY市長のジョン・ジョナ・ジェイムソン様だよ」

 

マドロックス、あんたのモットーは”エライ人には近づくな”じゃなかったのかよ」

意外なつながりにリクターが聞きます。

「モットーじゃないよ、ライフスタイルだ。」

マドロックスが言うにはデトロイトからNYに事務所を移す際に、一度面会を行ったらしい。ミュータントの探偵事務所なんて一蹴されると覚悟していたマドロックス。だが、ジェイムソンはあっさり了解を出したのだった。ジェイムソンとしては厄介ごとを押し付けるための”貸し”を作っていたのだ。

「それで、市長様がどんな御用で?」

ジェイムソンは立派な壮年男性の写真を出して説明をはじめる。

「ライアン将軍、軍部の重鎮だ。先日バージニアの墓地で撃たれて死んでいた」

「市長さん、それは警察の仕事じゃないのかい。わざわざ俺らに頼むことじゃない」

「警察ではだめだ。まず将軍が撃たれた弾丸すら見つけることができなかった。それにこれも見てほしい」

そういって出してきたもう一枚の古い写真には若い頃の将軍とアジア人の軍医、それとプレスの腕章をつけた若きジェイムソンが写っていた。

 

病院では、炎に包まれたココアがうずくまっていた。普通の人間なら重症なところだが、鋼鉄の皮膚を持つ彼女は全く平気だった。ショックで記憶を取り戻したココア=ロココはノエルとの再会を喜ぶ。

「それで、これからどうするの?二人で”テルマ&ルイーズ”をするわけにはいかないでしょ?」

「ここはNYよ、やることは決まってる。シルビウスも待ってる。J.J.ジェイムソンを殺してやるのよ」 

指先から弾丸を発射する能力、鋼鉄の皮膚、スーパーパワーを持つ二人の女性は市長に狙いを定めたのだった。

 

ちなみに、この話の中でスパイダーマンがちょっとだけ出てくるのだが「ジェイムソンが来たみたいだけど何かあったの?」的な事をおしゃべりするだけで、物語には全く関わってこない。それよりも「ところで、(ここ屋上なんだけど)その蜘蛛糸どこに繋がってたの?」と聞いてはいけない事を聞くシャッタースターが可笑しい。

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#217 "Deep Scars"

ジェイムソンの電話を盗聴するシルビウス。その指令を受けて先回りをするノエルとココア。ジェイムソンの暗殺計画は進む。しかし、そんな彼女らを追跡するブラックキャットの影があった。

 

市長の依頼で墓地を調査に来たマドロックス、リクター、ロングショット、シャッタースター。墓に供えられた花からロングショットの能力でサイコメトリーする。ライアン将軍を撃ったのは指先から銃弾を発砲する女性だった。ロングショットの証言をもとにリクターがiPadで似顔絵を作成し仲間に情報を送る。

 

一方ジェイムソンの警護に当たったモネとグイド、テレサ移民問題のデモ隊に囲まれていた。デモ隊の混乱に紛れてノエルは近距離から、ロココは遠距離からそれぞれジェイムソン狙撃を計画する。ビルの上に陣取ったロココはブラックキャットと遭遇戦闘となる。

一方、群衆に紛れてジェイムソンに近づくノエル。間一髪リクターからの似顔絵を受け取ったX-FACTORが阻止に走るが混乱の中で発射されたノエルの弾丸はグイドの胸を貫いていた。

このシーンでデモ隊に対して長台詞で啖呵を切ってるジェイムソンが格好良い。

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#218 "Man Down!"

屋上ではブラックキャットの活躍により、ロココの狙撃はすんでのところで阻止された。一方、地上のノエルは激昂したモネと対決、指先から銃弾を撃ち込むが、正面から放たれた弾丸を打ち返すことなどモネには容易なことだった。自分の銃弾に倒れるノエル。

騒ぎを聞きつけて市警備隊(妙なアーマーを着けて飛んできた)が駆けつけるが、今度はシルビウスが彼女の能力である強力な妨害電波を発射する。コントロールを失い墜落する警備隊アーマー。一体はモネがキャッチするが、もう一体を受け止めたのは重症のグイドだった。最後の力も使い果たしたグイドは瀕死となり、モネに病院に運ばれる。悲しいかな命の火が消えようとしてるなか二人の仲が進展する。

ブラックキャットを退けたロココ、寸前で銃弾を消して回復したノエルの二人をシルビウスが回収し、三人は一時撤退するも次の目標、写真に写っていた三人目のヤン医師に狙いを定めていた。

 

病院では担当の医師が悲報を告げていた。

「我々も最善を尽くしましたが残念です。カロッセラさんのご家族に連絡を……え?信じられない!」

悲嘆にくれるX-FACTORの面々の前で突如回復するグイドの容態。

「いやあ、ビックリしたよ!エルビス・プレスリーが手を振っててさ、隣にアンディ・カウフマンも居るんだよ。先生、本当だってよ。三途の川がどんなもんなのかか…」

回復した(生き返った?)グイドを囲んで安堵する探偵社の面々。そんな中、皆に隠れて何かを行ったのか、レイラだけがそっと病室を去って行った。

 

#219 "Lies, Damned Lies"

 ロココに付けた発信機を追って三人を追跡するブラックキャット。

「蚊が多いわね…。え、これって?なんでスパイダーセンスが効かなかったの…」

シルビウスに能力をジャミングされ、麻酔弾によって捕えられてしまう。

 

X-FACTOR探偵社の面々はジェイムソンを締めあげて、あの三人の正体を聞き出す。

彼女らは軍が行っていたスーパーソルジャー計画の一つ「S.C.A.R.s」の被験者で、中東にて様々な実験やテストを行っていたという。

ノエルは指先から実体化させた弾丸を発射する能力、ロココは鋼鉄の皮膚とスーパーパワー、シルビウスは各種妨害電波を操ることのできる能力を持っていた。その計画の責任者がライアン将軍、人体改造の主任がヤン医師、そして記録係としてメディアのジェイムソンが関係していたという事だった。

ジェイムソンの暗殺が失敗した今、三人目のヤン医師に危険が迫る。急ぎニューハンプシャーへ向かうX-FACTORの面々だった。

 

病院ではグイドの病室に一人レイラが残っていた。

「よう、レイラ。浮かない顔してどうしたよ。”お目付け役”が、そんなに気が重いのか」

「ううん」

「俺なんて浮かれ気分よ、浮かれすぎてそのまま天国まで昇っちまうかと…、っておい、どうしたよ?何かあったのか?」

 「ごめんなさい…。でも、これだけは信じて、あなたのためだったの。こうしないとあなたの未来が…。こうするしか道はなかったの…。本当にごめんなさい。」

そう言うとレイラは涙を浮かべながら病室を出て行ってしまった。あっけにとられるグイド。

 

一方、ノエル達はヤン医師の首に縄をかけ、彼らが自分たちに何をしてきたかを話させていた。S.C.A.R.sのプロジェクトによって自分たちの人生が滅茶苦茶にされたことをブラックキャット立ち会いのもと明らかにし、復讐を遂げようとしていたのだ。

ヤンが納屋から突き落とされる刹那、モネ、ロングショット、シャッタースター、リクター、レーンのX-FACTORが到着する。メンバーがそろったX-FACTORにはかなうはずも無くノエルはモネのテレパシーによって永久に目覚めない昏睡に陥る。ロココとシルビウスに逃げられるも、彼女らのジェイムソン暗殺計画は阻止されたのであった。

ヤン医師に礼を言われるモネだったが、元々は自分のテレパシーでノエルの封印されていた記憶を引き出してしまった事が原因であり、それによってグイドを瀕死に追い込んでしまった自責もあり、彼女の顔は晴れないままだった。

 

という事で、X-FACTOR×スパイダーマンのクロスオーバー編でした。

ほとんどスパイディに出番は無かったものの、ジェイムソンの名調子や、ブラックキャットの「不運能力」とロングショットの「幸運能力」が相殺し合うなんて小ネタも挟んで面白いアクション編になりました。

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また、気になるのがレイラが瀕死のグイドに行ったこと。レイラはOverTime編でもトレボー・フィッツロイを蘇らせていたが、それによって好青年だったフィッツロイはヴィラン になってしまったという話もあり、今回の復活劇が今後の物語にどう影響してくるかが楽しみになっています。

 

 

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