プラネテス再読(第1巻)
唐突に漫画「プラネテス」の感想を。
以前、まなめさん企画の「ブログ読書感想文」という企画に対し、しんざきさんがこの漫画の登場人物「ウェルナー・ロックスミス博士」を取り上げていたことに端を発し、家に眠っていた単行本を引っ張り出した次第。
奥付を見ると雑誌掲載が1999年、単行本発行が2001年なんですね。
まず物語の概要をさらっと。
舞台は2070年代。人類は宇宙進出に成功し、その生活圏を月・火星まで広げていた。そんな中新たに発生した仕事、それは宇宙空間に漂うゴミ(デブリ)を回収すること。そんな宇宙にいる平凡なデブリ回収船「DS-12」の乗組員フィー、ユーリ、ハチマキの物語であります。
第1巻は各クルーにスポットを当てた単発の読み切り作品。宇宙船のデブリ衝突事故で妻を亡くしたユーリや、ヘビースモーカーながら宇宙空間という特殊な状況で一服に悪戦苦闘するフィー、自分の宇宙船を持つという夢をもちながらデブリ回収中に事故に遭ってしまったハチマキの物語が集められています。
この巻はまだ読み切り作品といった色合いが強く、3話くらいまでキャラクター造形も定まっていません。黒髪でないハチマキは今見ても違和感あり。
個人的に特筆すべきは最終ページのハチマキのセリフ「なにもかも思い通りにしてやるぜェ 勝つのはオレだ」
当時まだ若かった自分はこのセリフを自分の指標に、いろいろ頑張っていたものです。今思うと恥ずかしい次第。
…でも、いまでもこのページは自分にとって、プラネテスの一番好きなところであり、事あれば思い出して、前に進む原動力(の一つ)となっているところでもあります。
もう一つ好きなのは第三話「ささやかなる一服をほしあかりのもとで」。
船長のフィーの煙草へのこだわり、この後も出てくる『ケスラーシンドローム』というキーワード等SF感、オチに向かうマンガとしての面白さ。実は後半に向けてテーマ性が強くなってくるのに対して、これくらい「マンガっぽい」方が好きかなーと思ったりもするのです。
発表当初から「地に足の着いたSF」として評価されていた一方、個人の意志や、人間の内側に持っているパワーを力強く表している作品と感じていました。
2巻以降は新たなキャラクターが追加され、続き物としての色が濃くなってきます。そういった意味でもこの1巻は特別な感じであり、自分の最も好きな巻でもあります。